早朝覚醒とは?特徴と症状
早朝覚醒は、普段の起床時間や自分が望む起床時間よりも2時間以上も早く目が覚めてしまう不眠です。「もっとゆっくり寝たいのに・・・」と思っていても、一度目が覚めると再び寝つけなくなります。このように、「朝早く目が覚めて二度寝ができない」のは、早朝覚醒の典型的な症状です。
早朝覚醒は、うつ病の症状としても現れることがあります。早朝覚醒がみられたら、必ずうつ病と診断されるわけではありませんが、気分の落ち込みが長く続いて明け方に目が覚めるようなら注意が必要です。
早朝覚醒になりやすい人
早朝覚醒はとくに中高年・高齢者に多い不眠です。私たちの体には体内時計の働きが備わっており、朝になると体温が上がったり、覚醒を促すホルモンが分泌・放出されたりすることで目が覚めるようなメカニズムになっています。この体内時計によって睡眠と覚醒のリズムがコントロールされているのですが、私たちは自分の意志でそれをコントロールすることができません。やがて年齢を重ねるにつれて、体内時計が少しずつ前に進んでしまいます。
若い世代と比べると、中高年・高齢者は眠くなるタイミングが1時間ほど早まるといわれており、若いころよりも早寝早起きになる傾向があります。
早朝覚醒の受診のタイミング
朝早く目が覚めても、日中に支障をきたしていなければ、とくに問題はありません。必要な睡眠時間には個人差がありますので、一概に「何時間眠ったら良い」という明確な判断はできません。理想的な睡眠時間は、ひとそれぞれの年齢や体質、性別、生活スタイルによっても異なると考えます。
一方で、日中に眠気や倦怠感を覚えたり、不調を感じるようになったりしたら、自分に必要な睡眠時間が十分に取れていないと考えます。そのままの状態が続くと不眠症を発症する引き金となります。
また、不眠の背景にうつ病などの精神疾患が隠れている場合もありますので、不眠に伴う気になる症状を感じたら、なるべく早めに受診しましょう。
早朝覚醒の主な原因
早朝覚醒には様々な原因があり、患者さん個人の健康状態や生活習慣、環境要因によって異なります。その中でも、もっとも多いのが加齢による早朝覚醒です。年を重ねると、睡眠のメカニズムが変わり、早朝に目が覚めやすくなることがあります。これは自然な加齢過程の一部です。
そのほかにも、早朝覚醒の主な原因には、以下のようなものがあります。
うつ病、ストレスや不安
早朝覚醒はうつ病の典型的な症状の一つです。うつ病にかかると、夜中や早朝に目が覚め、その後再び眠ることが難しくなります。
また、うつ病までに至らなくとも、日常生活でのストレスや不安が、睡眠の質を低下させる原因となります。眠りが浅くなり、早朝に目が覚めることがあります。
身体的な健康問題
夜間頻尿、体の痛み、呼吸障害(例えば、睡眠時無呼吸症候群)などの身体的な問題が、早朝に目が覚める原因となることがあります。
これらの原因を特定し、適切な治療や生活習慣の改善を行うことが重要です。早朝覚醒が続く場合は、なるべく早めに受診して診察をうけ、専門医の治療を受けましょう。
早朝覚醒で処方される睡眠薬の種類・料金
当院では、早朝覚醒の治療として薬物療法をおこないます。睡眠薬は一時的な症状緩和のために、医師の指導の下で処方されます。お薬の長期使用にともなう依存や副作用のリスクを不安視される患者さんについて、当院では医師が慎重に管理しながらサポートしていきますので、ご安心ください。
診察料、初診料、再診料、処方料はすべて無料です。料金表以外の料金はいただきません。
不眠治療薬のご紹介 | 料金 |
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超短時間型睡眠導入剤 (例:ハルシオン、マイスリーなど) |
3,800円~4,800円(税込) |
短時間型睡眠導入剤 (例:レンドルミンなど) |
3,300円(税込) |
中間型睡眠薬 (例:サイレース、ユーロジンなど) |
2,200円~3,800円(税込) |
短時間型抗不安薬 (例:デパス、ソラナックスなど) |
2,200円(税込) |
使用する睡眠薬の種類によっては長期に服用した場合に依存に陥り、服薬がやめにくくなる恐れもあります。必ず医師の指示に従って服用することが重要です。
睡眠薬の種類について
国内正規品のみ提供
睡眠薬は、不眠の症状のタイプと薬の作用時間を基準にして選びます。 早朝覚醒の症状がある方には、主にベンゾジアゼピン受容体作動薬という睡眠薬が処方されます。大脳のGABA(γアミノ酸酪)受容体に作用し、催眠効果をもたらす薬です。この薬は作用の持続時間が長いものから短いものまでいくつかの種類があります(主に超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型の4タイプ)。
朝早くに目が覚めてしまう場合は、朝まで薬の効果が持続するように、中間作用型や長時間作用型の睡眠薬を処方するのが一般的です。ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、うつ病などの精神疾患が原因の不眠にも処方されることがある薬です。薬の抗不安作用によって、精神の安定を促します。
そのほか、オレキシン受容体拮抗薬という薬も処方されます。「オレキシン」とは脳内にあるホルモンで、覚醒状態を持続させる働きがあります。この働きを弱めることで、眠りをもたらす効果が期待できます。
早朝覚醒の予防と対策
早朝覚醒は生活習慣の影響が大きく関わっていることが多いです。日々の生活で不眠を悪化させる要因が無いかを考え理解し、改善しましょう。
アルコールやカフェイン、寝る前の食事を控える
アルコールは一時的に眠気を誘発することがありますが、その後、睡眠の深さを浅くしてしまうため、早朝覚醒を引き起こすことがあります。特に、アルコールが分解される過程で体温が上昇し、覚醒を促進することがあります。カフェインは脳を刺激し、眠気を抑制する効果があります。特に夕方以降にカフェインを摂取すると、夜間の覚醒や早朝覚醒を引き起こすことがあります。
また、夜遅くに食事を摂り、すぐ寝床につくような生活が習慣化すると、早朝覚醒のきっかけになることがあります。
寝室の環境を整える
寝室の温度が高すぎたり低すぎたりする場合や、騒音がある場合、寝具が合わない場合などは深い睡眠が妨げられ、眠りが浅くなります。その結果、朝早く目が覚めてしまうことがあります。一度、寝室の環境を見直してみましょう。早朝覚醒に関するよくあるご質問
朝早く目が覚めて、二度寝しようと思ってもなかなか眠れません。そのまま寝床にいた方がよいでしょうか?
朝早くに目が覚めてしまったら、無理に眠ろうとする必要はありません。 年齢にもよりますが、一般的には寝床にいる時間と実際に寝る時間が一致しているのは20代までと考えられています。30代以降は、加齢とともに徐々にその差が開きます。これは老化の一種であり自然現象なので、日中に体の不調を感じなければ、早く起きて活動を始めても問題はありません。
寝付けないのに無理に寝床にいると、「眠れない、どうしよう」と不安になり、ますます寝付けなくなるという悪循環に陥ってしまうことがあります。「もう少し眠ろう」と思い10分ほど経っても眠れないときは、一旦寝床から出て、眠くなるまでリラックスすると良いでしょう。
早朝3時ごろに目が覚めてしまい、夕方頃から眠くなってきます。睡眠薬で改善しますか?
高齢者に多い極端な朝型は、睡眠薬だけでは治療が困難な場合があります。
医学的に「睡眠相前進症候群」とよばれ、高齢者に多くみられます。夕方頃から徐々に眠くなり、夜9時前には就寝、そしてまだ暗い早朝に目が覚めてしまうような生活スタイルです。夕方以降、社会生活や趣味・娯楽活動が困難となってしまう高齢者は少なくありません。
睡眠相前進症候群は、加齢に伴う体内時計の乱れが原因で起こっていることが多いため、睡眠薬の処方だけではなく、生活環境の改善が必要不可欠です。
精神的に不安定になると、朝早く目が覚めてしまうことがあります。これは何か精神的な病気なのでしょうか?
不安や気分の落ち込みを伴う「うつ病」などの気分障害では、早朝覚醒がみられることがあります。
精神疾患を患うと、不眠の症状が顕著にあらわれます。その代表格となるのが、うつ病です。そのほかにも、パニック障害や統合失調症、認知症などがあります。
うつ病の自覚がない人は、「しっかり寝られていないから気分がすぐれないのだ」と思いこみ、無理に長く眠ろうとして早く寝床についたり、二度寝をしようと試みてしまったりする傾向があります。結果、体内時計の乱れによって寝つきが悪くなり、睡眠が浅くなり、悪循環に陥ります。
不眠と共に、食欲不振や気分の落ち込み、何に対しても興味がわかないなどの意欲低下が見られたら、一度、精神科や心療内科を受診することが推奨されます。